tener’s diary

てねーるのブログ記事です

ディズニー映画の紹介&感想記事を書くにあたって~ディズニー映画入門~

 さて、このブログではしばらくの間ディズニー映画について語る記事を連載しようと思っています。特に、歴代のディズニー長編アニメについての紹介及び個人的な感想を書く記事を順に載せていこうと思っています。
 世間にはディズニーオタクは数居れど、ディズニー映画を全作品見たという人は意外と少ないんですよね。しかも、ディズニー映画全作品について詳細なレビューを書いている人となるともっと少ない。Googleで検索してみても日本語でディズニー映画の全作品紹介&レビューを書いたサイトはほとんど見つかりませんでした。*1
 実は、以前僕はTwitterでディズニー映画の全作品の感想をツイートしたことがあったのでそれの再利用記事です。どうせならブログの形でちゃんとまとめてみようかなと思ったのがきっかけです。
 しかし、その前にまずは「そもそもディズニー映画ってなに?」「ピクサーとか実写とか色々あって違いが良く分かんない」みたいな人のための簡単なイントロダクション及び補足説明の記事を書こうと思います。

ディズニー映画の分類

 ディズニー映画と一言で言っても色んな種類があります。『蒸気船ウィリー』のようなミッキーマウスの短編アニメーションもあれば、『白雪姫』『シンデレラ』みたいな長編アニメーションもあります。また、『トイ・ストーリー』などのピクサー作品もあれば、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のような実写映画もディズニー作品に分類されます。最近は『美女と野獣』や『アラジン』などかつての長編アニメの実写化作品もありますね。
 このように、ディズニー作品は非常にたくさん存在します。そのためなのか、「とりあえずディズニー作品を見てみるか」と思い立った新参は何から見て良いか分からなくなるといった事態に陥ることもしばしばあります。*2
 そこで、分かりやすく整理するためにまずは簡単にディズニー映画の分類の話をします。

WDAS(ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ)作品

 今でこそウォルト・ディズニー・カンパニーは世界に名だたる大企業ですが、その始まりはウォルト・ディズニーとロイ・O・ディズニーという二人に兄弟による小さなアニメーション制作スタジオでした。その二人による小さなスタジオの直系組織と言えるのがこのウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ(以下、WDASと略します)です。
 WDASはウォルト・ディズニー・カンパニーに属するアニメーション制作部門であり、一般に「ディズニーアニメ」と言って人々が思い浮かべるアニメーションの多くはこのスタジオで作られたものです。
 なので、当ブログでも最初はWDAS作品から紹介&感想記事を書こうと思っています。
 

WDAS作品の長編と短編

 WDAS作品もさらに細かく分けると短編アニメーション映画と長編アニメーション映画の二種類があります。ウォルト・ディズニーが最初に作ったのは短編アニメーションのほうでした。今やディズニーの顔とも言うべき「ミッキーマウス」のデビュー作『蒸気船ウィリー』*3もこのWDASの短編アニメーション作品です。

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蒸気船ウィリー

 その後しばらくはずっと短編アニメを作り続けていたのですが、1937年に初の長編アニメーション映画として『白雪姫』を公開して以降は長編アニメのほうも作り続けています。
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白雪姫

 本ブログではまずWDAS作品の長編アニメーション映画の感想から先に記事を書こうかなと思っています。

ピクサー作品

 「ディズニーとピクサーの違いが分からない」という疑問はディズニーオタクならば必ずぶつけられる疑問ですね。簡単に言うと制作スタジオが違います。もともと、ピクサーウォルト・ディズニー・カンパニーとは別の会社です。かの有名なスティーブ・ジョブズ氏がルーカス・フィルムのCGアニメーション部門を買収して成立させました。
 ピクサーも当初は短編のCGアニメーション作品を作っていたのですが、1995年に初の長編CGアニメーション映画として『トイ・ストーリー』を公開して以降は長編CGアニメを現在まで制作し続けています。
 この『トイ・ストーリー』公開の際、ピクサーはこの作品をディズニー社との共同制作ということにしたんです。政策はピクサーのスタジオが行い配給等はディズニーが行うという契約は『トイ・ストーリー』以降のピクサー作品でも続けられました。2006年以降はピクサーはディズニーに買収されたことでウォルト・ディズニー・カンパニーの完全子会社となりましたが、依然としてスタジオはWDASと別々のままです。
 現在は、WDASのほうもフルCGアニメ作品ばかり作っているので見た目の上ではピクサーとの区別がつきにくくなりましたが、今でもWDASとピクサーは一応別のスタジオとして、どちらも同じウォルト・ディズニー・カンパニーに属してはいますが、それぞれ別個に作品を制作しています。

実写作品

 ディズニーは実写映画もたくさん作っています。ディズニーの実写映画は色んなスタジオが存在していてややこしいですが、有名どころはウォルト・ディズニー・ピクチャーズとタッチストーン・ピクチャーズの二つでしょう。

ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ

 ディズニーの実写映画と言えば基本的にはここの制作だと思って構いません。なお、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ自体は実写だけでなく先に挙げたWDAS作品などの公開もウォルト・ディズニー・ピクチャーズのブランド下で行っているので、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ作品=ディズニーの実写映画、というわけではないことに注意してください(まあ、普通はWDAS作品は先述のように別枠で分類して語られることが多いですが)。
 『南部の唄』や『海底二万里』などの古典的作品から、比較的最近の『パイレーツ・オブ・カリビアン』や実写版『美女と野獣』などまで、ほとんどのディズニー実写作品はこのウォルト・ディズニー・ピクチャーズで制作されています。

タッチストーン・ピクチャーズ

 タッチストーン・ピクチャーズは現在活動休止中ですが、かつては『ロジャー・ラビット』や『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』*4など多くの有名なディズニー実写映画を公開してきたところです。1984年にディズニーの子会社として設立され、わりと大人向けの実写映画を公開し続けました。『天使にラブ・ソングを…』や『アルマゲドン』なども実はタッチストーン作品だったりします。

その他実写映画

 ディズニーの実写映画は他にもハリウッド・ピクチャーズや動物ドキュメンタリー専門のディズニーネイチャーなどでも作られています。
 また、ルーカス・フィルムや20世紀フォックス、マーベル・スタジオなどのように、元々はディズニーとは別会社だったけどその後買収されたことで現在ウォルト・ディズニー・カンパニーの完全子会社になっているスタジオもあります。これらの会社による実写映画も広義のディズニー作品と言えるでしょう(実際、ルーカス・フィルムのスター・ウォーズのエピソード7以降なんかは今では完全にディズニー作品扱いする人が多いです)。

ディズニー・トゥーン・スタジオ

 主にビデオ用の続編映画を作っていた会社です。現在は閉鎖されています。
 基本的にはビデオのみでの公開となった映画が多いのですが、中には『ダックテイル・ザ・ムービー/失われた魔法のランプ』や『プレーンズ』のような劇場公開作品もあります。WDASの長編アニメーション作品である『アラジン』の続編として『アラジン ジャファーの逆襲』をビデオのみで公開して以降、『ライオン・キング2』や『リトル・マーメイドⅡ』など、たくさんの続編作品を主にビデオ専用で公開してきました。
 これらのディズニー・トゥーン・スタジオの続編作品は典型的な「雑な続編乱発」という印象が強く、実際ディズニーファンからの評判はすこぶる悪かったです。そのため、ディズニーオタクの間では有名なジョン・ラセター氏による改革の結果、2007年以降は続編制作を完全にやめて、『ティンカー・ベル』シリーズのようなスピンオフ作品のみの製作に切り替わりました。
 しかし、2018年にはとうとう完全閉鎖となり、スピンオフ作品の制作すらもしなくなりました。*5

その他

 制作はディズニーじゃないけど配給はディズニーによって行われたという作品もいくつかあります。『ライアンを探せ!』などがそうです。また、『Disney's クリスマス・キャロル』のように別会社*6がディズニーとの合弁事業のもとで制作した作品もあります。
 まあ上記の分類に上手く入れられなかったディズニー作品たちだと思ってもらってかまいません。


 以上、長くなりましたがいわゆる「ディズニー作品」なるものについて大まかに分類しました。先述の通り、当ブログではしばらくの間はこれらのディズニー作品のうち特にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーション作品に的を絞って紹介&感想記事を書きたいと思っています。
 ということで、次の章でWDAS作品の一覧とその大まかな歴史的分類を書きます。


WDAS作品を中心に見るディズニー映画の歴史

短編アニメーションのみの時代

 1923年にウォルト・ディズニーとロイ・O・ディズニーの兄弟によって設立されて以降、WDAS作品は長い間短編作品を中心に作り続けました。『アリスコメディ』シリーズや『オズワルド』シリーズの制作を経て、1928年に『蒸気船ウィリー』でミッキーマウスの短編映画シリーズが始まりました。このミッキーマウスの短編映画の爆発的な大ヒットにより、ミッキーは今でもディズニーを代表するキャラクターとなりました。
 この『ミッキーマウス』シリーズとほぼ同時期には『三匹の子ぶた』などで有名な『シリー・シンフォニー』シリーズも始まり、1930年代には多くのディズニー短編アニメーションが作られました。これらの短編アニメに出たミッキーマウスやドナルドダック、三匹の子ぶたたちなどのキャラクターはアメリカ中で大人気になり、ウォルト・ディズニーが完全に時の人となったのもこの頃です。

長編アニメーションの始まり(初期ディズニーの”Big 5”)

 数々の短編アニメーションのヒットで時の人となったウォルトは1937年に初のフルカラー長編アニメーション映画として『白雪姫』を制作します。ここからWDASの長編アニメーションの歴史が始まります。
 以下に挙げる5作品を僕は「初期ディズニー作品」と呼んでいます(カッコ内の数字は公開年です)。アメリカではBig 5と呼ぶこともあるそうです。

  1. 『白雪姫』(1937)
  2. ピノキオ』(1940)
  3. 『ファンタジア』(1940)
  4. 『ダンボ』(1941)
  5. 『バンビ』(1942)

 タイトルの前についている数字は公開された順番です。

第二次世界大戦期からの短編集

 『バンビ』公開後のディズニー・スタジオは、アメリカが第二次世界大戦に突入したこともあってか、しばらく長編アニメーションの制作はせず、短編アニメーションのオムニバス形式での作品を公開し続けました。短編集の公開は第二次世界大戦後もしばらく続き、オムニバス形式じゃない『白雪姫』のような長編アニメーションは長い間作られません。
 以下が、この時期にWDASの長編アニメーション作品として公開された短編集作品です。

  1. 『ラテン・アメリカの旅』(1942)
  2. 『三人の騎士』(1945)
  3. 『メイク・マイン・ミュージック』(1946)
  4. 『ファン・アンド・ファンシーフリー』(1947)
  5. 『メロディ・タイム』(1948)
  6. イカボードとトード氏』(1949)

第一期黄金期

 長きにわたる短編オムニバス作品の時代が終わり、『バンビ』以来の長編アニメーションである『シンデレラ』を公開した1950年以降のディズニーを第一期黄金期と俗に呼びます。第二次世界大戦期に経営難に陥っていたディズニーが『シンデレラ』のヒットをきっかけに人気を取り戻し、第一期黄金期と呼ばれる戦後のディズニー復興を成し遂げた訳です。この第一期黄金期の1955年にはカリフォルニアの最初のディズニーのテーマパークである「ディズニーランド」も出来ています。
 以下が、第一期黄金期のWDAS長編作品です。

  1. 『シンデレラ』(1950)
  2. ふしぎの国のアリス』(1951)
  3. 『ピーター・パン』(1953)
  4. わんわん物語』(1955)
  5. 『眠れる森の美女』(1959)
  6. 『101匹わんちゃん』(1961)
  7. 王様の剣』(1963)
  8. ジャングル・ブック』(1967)

第一期暗黒期

 『ジャングル・ブック』の制作中にウォルト・ディズニー氏が亡くなり、これ以後のディズニー社は暗黒期に入ったと言われます。暗黒期だからと言ってこの時代のWDAS長編作品の全てが完全な駄作かというと必ずしもそうではないのですが*7、この頃のディズニー作品は今でも比較的マイナーなものが多いうえ、実際経営もかなり苦しい状況だったそうです。
 なお、この第一期暗黒期もナイン・オールドメン*8がまだい続けた前期と彼らが完全に引退した後期とに分けることがあります(1981年の『きつねと猟犬』を最後にナイン・オールドメンは全員引退し、ディズニーではこれを機にアニメーターの世代交代が起こります)。
 以下が、第一期暗黒期のWDAS長編作品です。

  1. 『おしゃれキャット』(1970)
  2. ロビン・フッド』(1971)
  3. くまのプーさん 完全保存版』(1977)
  4. ビアンカの大冒険』(1977)
  5. 『きつねと猟犬』(1981)
  6. 『コルドロン』(1985)
  7. 『オリビアちゃんの大冒険』(1986)
  8. 『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』(1988)

第二期黄金期(ディズニー・ルネサンス

 1989年公開の『リトル・マーメイド』のヒットをきっかけに、ディズニーは1980年代の暗黒期を抜け出すことに成功しました。これ以降の1990年代を第二期黄金期(もしくはディズニー・ルネサンス)と呼びます。ディズニー映画は完全にかつての人気を取り戻します。
 なお、この第二期黄金期もピクサー長編アニメーションが公開される1995年より前とその以後とで分けることがあります。つまり『ライオン・キング』までと『ポカホンタス』以降とで区切ります。
 第二期黄金期のWDAS長編作品は以下の通りです。

  1. 『リトル・マーメイド』(1989)
  2. ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!』(1990)
  3. 美女と野獣』(1991)
  4. 『アラジン』(1992)
  5. ライオン・キング』(1994)
  6. ポカホンタス』(1995)
  7. ノートルダムの鐘』(1996)
  8. ヘラクレス』(1997)
  9. 『ムーラン』(1998)
  10. 『ターザン』(1999)

第二期暗黒期

 2000年に入るとWDASは再び低迷期に入ることになってしまいます。1995年にはもうピクサーが『トイ・ストーリー』などのフルCGアニメーション映画を公開していて、2000年代にはWDAS作品よりもピクサー作品のほうがディズニーの主要なヒット作になってしまいます。
  2000年代の暗黒期も個人的には必ずしも全ての作品が完全な駄作というわけでもないのです。*9
 しかし、後の第三期黄金期に比べると2000年代のWDAS作品は興行的にも振るわず知名度の低い作品が多かったのも事実です。特に2000年代前半はその傾向が顕著でした。*10
 以下が、第二期暗黒期のWDAS長編アニメです。

  1. 『ファンタジア2000』(1999)
  2. ダイナソー』(2000)
  3. ラマになった王様』(2000)
  4. アトランティス 失われた帝国』(2001)
  5. リロ・アンド・スティッチ』(2002)
  6. 『トレジャー・プラネット』(2002)
  7. 『ブラザー・ベア』(2003)
  8. 『ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え!』(2004)
  9. チキン・リトル』(2005)
  10. ルイスと未来泥棒』(2007)
  11. 『ボルト』(2008)

第三期黄金期から現在

 すでにピクサーの第一人者として活躍していたジョン・ラセター氏がWDASのほうの指導者となったことでWDASの第三期黄金期が起こりました。これ以降のWDAS作品は暗黒期を無事に抜け出し、ヒット作を生み出し続けることに成功しました。
 これは俗にラセター体制と言われる彼の独自の制作体制による功績が大きいと言われています。そんなジョン・ラセター氏も昨年2018年に退職しました。
 以下、ラセター体制によって復活した第三期黄金期の開始から現在までのWDASの長編アニメーション作品です。*11

  1. プリンセスと魔法のキス』(2009)
  2. 塔の上のラプンツェル』(2010)
  3. くまのプーさん』(2011)
  4. シュガー・ラッシュ』(2012)
  5. アナと雪の女王』(2013)
  6. ベイマックス』(2014)
  7. ズートピア』(2016)
  8. 『モアナと伝説の海』(2016)
  9. シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)
  10. アナと雪の女王2』(2019)

次回以降の予告

 以上、ざっとディズニー映画について概観してきました。次回以降の記事では、これを踏まえて『白雪姫』から順に一作ずつWDAS長編アニメーション作品の紹介をしようと思います。
 次に更新できる日時は未定ですが、その時が来たらまたよろしくお願いします。

*1:数件は見つかりました

*2:MCU作品でもそういう現象はしばしば見られますね

*3:厳密には『蒸気船ウィリー』がミッキーのデビュー作と言うのは間違いなんですが、まあ事実上のデビュー作はこの作品です

*4:なお、正確に言うと『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』はストップモーションアニメなので実写映画とは言えないです

*5:つい最近のことなので、完全閉鎖になった経緯は正直僕にも良く分からないです。ごめんなさい

*6:イメージムーバーズという映画会社です

*7:特に後の第二黄金期を率いることになる若いアニメーターたちとの世代交代が済んだ暗黒期末期からは、第二期黄金期の兆しを感じさせる名作も出てきます

*8:ディズニーがまだ短編アニメーションしか作っていなかった時代からディズニーアニメの制作に携わり続けた9人の大御所アニメーターのこと

*9:特に、後述する「ラセター体制」に移行してからの2000年代末期の作品は興行的に成功し、Rotten Tomato等でもわりと高評価を得ている作品が多いです

*10:例外的に『リロ・アンド・スティッチ』だけは大ヒットしましたが

*11:第三期黄金期の始まりをどこにするかは人によって分かれます。ラセター体制に完全移行してから制作された『ボルト』を第三黄金期の始まりとする人もいますが、ここではアメリカのファンサイトで主流な見解となっている『プリンセスと魔法のキス』を第三黄金期の開始時点にしています