tener’s diary

てねーるのブログ記事です

【ディズニー映画感想企画第9弾】『ファン・アンド・ファンシー・フリー』感想~2つの中編の繋ぎ合わせ~

 ディズニー映画感想企画第9弾は『ファン・ファンシー・フリー』の感想記事を書きます。この時期のオムニバス形式のWDAS長編アニメーションの中では『三人の騎士』と並んで比較的知名度は高い方の作品かもしれません(それでもディズニー映画全体の中ではかなりマイナーなほうではありますが……)。

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【基本情報~2つの中編の繋ぎ合わせ~】

 『ファン・アンド・ファンシー・フリー』はディズニー9作目の長編アニメーション映画として1947年に公開されました。と言っても、この時期の作品なので相変わらずのオムニバス形式です。かねてからの記事で述べている通り、第二次世界大戦下で長編アニメーション映画の制作をやめてしまったディズニー・スタジオは、短いアニメーションを繋ぎ合わせて長編扱いにするパッケージ商法でしか新しい作品を作れなかったのです。

 この『ファン・アンド・ファンシー・フリー』も2つの中編アニメーション(『ボンゴ』と『ミッキーと豆の木』)を雑につなぎ合わせただけの作品です。『ボンゴ』も『ミッキーと豆の木』もどちらも元々は1つ長編アニメーションとして公開することが構想されていた作品なんですが、結局30分程度の中編アニメーションにスケールダウンさせて、2つ合わせて1時間超えの長編映画として売り出すことにしちゃったわけです。

 短編を雑に繋ぎ合わせただけの前作『メイク・マイン・ミュージック』に次いで、2つの中編を雑に繋ぎ合わせただけのこの『ファン・アンド・ファンシー・フリー』が公開されると、批評家からは当然のように酷評されまくったそうです。こうして、第二次世界大戦を通してディズニー・スタジオはもはや完全に衰退しきってしまったのだと多くの人々からみなされるようになりました。この頃には『トムとジェリー』で大ヒットしたハンナ・バーベラのような新興勢力の台頭も起きてて、もはやディズニーは「アニメーション業界の王様」ではなくなったそうです。

 『ファン・アンド・ファンシー・フリー』はそんなディズニーの衰退期を象徴する作品の1つだと言えると思います。




【個人的感想】

総論

 上で述べた通り、『ファン・アンド・ファンシー・フリー』は『ボンゴ』と『ミッキーと豆の木』という2つの中編アニメーションを繋ぎ合わせた作品なんですが、ぶっちゃけ2つとも大して面白くないです。一応、前作『メイク・マイン・ミュージック』とは違って2つの中編アニメーションの間の「つなぎ」のシーンも存在するので、前作よりは手抜き臭さは少し減ってるのですが、どっちみち退屈な作品に変わりないです。

 『ピノキオ』のジミニー・クリケットは好きなキャラではあるので、彼がつなぎのシーンでナレーター役として出てきたこと自体は少し嬉しいんですけどね。それだけです。それ以外に特筆すべき魅力的な箇所がつなぎのシーンにあるわけでもないです。

 以下、それぞれの中編の感想です。


ボンゴ

 サーカス団に買われて酷使されていた子熊のボンゴが、サーカスを脱走して野生の森で暮らす話。長編アニメーションに比べれば短めの話とは言え、それでもちょっと冗長に感じます。とは言え、ボンゴがルルベルと恋に落ちランプジョーと戦い始める辺りまでのシーンはまあまあ面白いカートゥーンとして見続けられます。でも、ランプジョーとのバトルシーンはちょっと長いうえ面白味に欠けますね。

 んー。これ以上書くことがないです。それなりにストーリーはしっかり作られているので、完全に退屈な作品ってほどでもないんですけど、かといって特筆するほど面白い箇所があるわけでもない。良くも悪くも「普通」としか言いようの作品です。眠気を催すほどの退屈さはないので、期待値低めで軽い気持ちで見る分にはまあまあ満足する作品とも言えますね。


ミッキーと豆の木

 有名な童話『ジャックと豆の木』の話をミッキー、ドナルド、グーフィーの3人に演じさせたアニメーションです。合間合間に実写のナレーションシーンが挟まるんですが、正直言ってこのナレーションシーンはちょっと邪魔に感じます。腹話術で繰り広げられるコミカルな会話の掛け合いも別に面白くないです。アニメの合間にこういう面白くない実写パートを出されると、「実写パートはどうでも良いから、早くメインのストーリーを進めてくれないかな?」と思ってしまいます。

 アニメーションで流れる『ジャックと豆の木』風のストーリーも正直言って面白くないです。この話で出てくる巨人のウィリーは他のディズニー作品でもちょいちょい出演しているのでそこそこ有名ですね。実際、彼のキャラはディズニーの短編にありがちなコミカルな悪役なので、わりと魅力的には感じます。

 そんなウィリーとミッキーマウスたちがドタバタ劇を繰り広げるだけのアニメーションです。これも『ボンゴ』と同じく「普通」としか言いようのない作品だなあ。特別に面白くもなければ、途轍もなく眠くなるほどのつまらなさでもない。そんな作品ですね。



やっぱり微妙……

 ということで、前作『メイク・マイン・ミュージック』に引き続き、第二次世界大戦中から終戦直後のディズニーの衰退がうかがえる作品だと思います。あまり面白くない微妙なクオリティの作品でした。





 以上で、『ファン・アンド・ファンシー・フリー』の感想記事を終えます。次回は『メロディ・タイム』の感想を書こうと思います。