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てねーるのブログ記事です

【ディズニー映画感想企画第31弾】『アラジン』感想~僕の一番好きなディズニー作品~

 ディズニー映画感想企画第31弾は『アラジン』の感想記事を書こうと思います。これも超有名な作品でしょう。日本でもつい最近実写版が公開されたことで再び話題に上ることが多くなった印象があります。そして、僕はこの映画が歴代ディズニー映画の中で一番好きと言っても過言ではありません。それゆえに、今回の記事は少々熱が入ったものになるかも知れません。
 そんな『アラジン』について語っていきたいと思います。

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【基本情報】

非西洋舞台のディズニー映画

『アラジン』は1992年に31作目のディズニー長編アニメーション映画として公開されました。原作は、イスラム圏における有名な説話集である『千夜一夜物語』の一節『アラジンと魔法のランプ』です。この『千夜一夜物語』は主に中東を舞台にした話が多く収録されている話であり、これをディズニーが映画化したことから本作品はディズニーの歴史において一つの転換点になったと言われています。

 すなわち、この『アラジン』の公開以降、ディズニーは「西洋以外の地域」を舞台にした作品を多く作るようになるのです。実は、いわゆる「アジア」を舞台にしたディズニー長編アニメーション映画はこの『アラジン』が初めてではなく、この作品以前にも『ジャングル・ブック』の例があります。しかし、逆に言えば、この『ジャングル・ブック』の一例しかそれまではありませんでした。他は、基本的に西洋が舞台の作品ばかりであり、登場人物も西洋人ばかりでした。『ジャングル・ブック』公開の1967年から『アラジン』が公開される1992年までの25年の間のディズニー映画も基本的に西洋世界が舞台のものしかありませんでした。

 しかし、この『アラジン』の公開以降のディズニーはヨーロッパやアメリカ大陸などの西洋に限らず、非西洋の文化圏も大きく扱う話を多く作るようになりました。次作『ライオン・キング』はアフリカが舞台ですし、その後も『ポカホンタス』や『ムーラン』など非白人のヒロインが登場する話を作ってたりします。こうして、ディズニーは西洋のみならず「古今東西、世界中の色んな地域・時代」を舞台にするようになっていったのです。そのような流れは明らかに『アラジン』から始まってると言えるでしょう。

 そういう意味で、『アラジン』はディズニーの新しい傾向をまた一つ作った作品だと言えるのです。一つの転換点となった作品だとも言えるでしょう。


ディズニー・ルネサンスの継続

 本作品もディズニーの第二期黄金期(ディズニー・ルネサンス)が依然として継続中であることを示す作品となりました。監督は、『リトル・マーメイド』をヒットに導いたあのジョン・マスカー&ロン・クレメンツのコンビです。第二期黄金期の繁栄を象徴する二人が再び監督に選ばれたことからも、本作品が第二期黄金期のヒット継続を目指して作られていたことがうかがえます。

 また、それまでの第二期黄金期の方針に基づいて本作品でもブロードウェイ風のミュージカルが取り入れられることが決定し、アラン・メンケン&ハワード・アシュマンの黄金コンビがまたもや音楽を担当しました。『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』で数々の名曲を作り上げたコンビが本作品も担当したのです。しかし、前の記事で述べた通り、ハワード・アシュマン氏は本作品の制作中にエイズで亡くなってしまったため、ティム・ライス氏が彼の作詞を引き継ぎました。

 ティム・ライス氏は当時『エビータ』や『チェス』など多数のミュージカル作品の音楽制作を手掛けたことで有名な作詞家です。すでにミュージカル界で十分な実力を示していた彼は、その実力をディズニーでも発揮し『アラジン』の数々の名曲を手掛けたのです。このため、『アラジン』の劇中歌にはハワード・アシュマン作詞のものとティム・ライス作詞のものとが混在しています*1。なお、作曲のほうは全てアラン・メンケン氏が担当しています。これまでの記事で述べて来た通り、この頃までにはアラン・メンケン氏はすでにディズニー御用達の偉大な作曲家としての地位を確かなものにしていました。

 また、キャストの面でも『アラジン』では有名人が抜擢されました。魔神ジーニーの声を担当したロビン・ウィリアムズ氏です。言わずと知れたハリウッドの有名俳優であり、当時すでに『グッドモーニング, ベトナム』や『いまを生きる』や『フィッシャー・キング』などの映画に出演し、アカデミー賞に名を連ねていた大物俳優でした。この映画『アラジン』公開の後には『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』などにも出演したことで知られてますね。そんな超大物俳優をディズニーは声優に採用したのです。*2

 このように監督や音楽や声優に多くの有名人や実力者を採用した『アラジン』は、興行的にも大きな成功を収め、『リトル・マーメイド』以来の第二期黄金期は依然として継続中であることを世間に示したのでした。評論家からも高く評価され、『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』同様に『アラジン』もアカデミー歌曲賞アカデミー作曲賞を受賞しました。ディズニー・ルネサンスの繁栄はまだまだ続きます。





【個人的感想】

総論

 最初に言っておきますと、僕はこの『アラジン』が、めちゃくちゃ、超絶、とてつもないほど大好きです!冒頭で述べた通り、歴代ディズニー映画の中でも『アラジン』が一番好きと言っても過言ではありません。そのため、この作品に対しては基本的に褒めまくることしかできません。ストーリーも音楽もキャラクターも映像も全てが完璧としか言いようがない作品なんですよね。それらのバランスがものすごく完璧なんです。秀逸すぎます。

 とにかく「すごい!」「上手すぎる!」としか言いようがないんです、この作品は。王道ディズニー映画の一つの完成形だと思います。単純に一つのエンタメ作品としてとても綺麗にまとまっていて「良く出来てる」んですよね。その無駄のない洗練された出来栄えに心の底から惚れ惚れします。とにかく「面白い」し「感動する」し、また洗練された映画作りの技術に「感心」します。以下、そんな『アラジン』の魅力について詳細に語っていきたいと思います。


無駄のないストーリー

 『アラジン』の魅力の一つは何といってもストーリーの上手さだと思います。とても良く出来てるとしか言いようがないです。脚本の上手さでは第二期黄金期の中でダントツではないでしょうか?ものすごくスピーディーに次から次へと新しい展開が起きるので、最初から最後まで飽きずに見続けることができるんですよね。このテンポの速さは後の『トイ・ストーリー』シリーズや第三期黄金期の作品群を彷彿とさせます。

 無駄に冗長だと感じるシーンが全くないんですよね。それでいながら急展開すぎず、全ての展開が物語のエンディングに向けて「必要不可欠」なシーンとなっています。「この展開は要らなくない?」「このシーンは長いし退屈だからカットしてくれないかなあ」と思うシーンが全くないってのは本当にすごいことだと思います。

 これは後述する「テーマの一貫性」によるところも大きいと思います。ちゃんと分かりやすい物語のテーマが用意されていて、作品内の全ての出来事はそのテーマを伝える物語に必要不可欠な存在になってるんですよね。序盤でのアラジンの境遇説明パート、市場でのジャスミンとの出会い、ジーニーに出会ってアリ王子に成り済ますアラジン……etcと展開が目まぐるしく動く一方で、その全てが本作品のテーマにしっかりと関連している。上手いストーリーの組み立て方だと思います。本当に無駄がないです。

 無駄なくスピーディーに展開が進む点で、本作品は非常にテンポの良い作品だと言えると思います。だからこそ、素直に「面白い!」と思えるんですよね。


「自由」というテーマ

 本作品のテーマの一つは「自由」でしょう。このテーマの描き方が上手いんですよね。ドブネズミと蔑まれ貧困に囚われているアラジン、王宮の中で縛られた生活をしているジャスミン、ランプをこすった主人の奴隷として生きることを運命づけられてるジーニー。主要キャラクターの全てが何かしらの不自由を抱え、そこから「解放」されることを望んでいることが分かります。だからこそ、物語内できっちりとテーマに一貫性が生じている。

 この物語は貧しいアラジンが王女ジャスミンと結ばれるまでの過程を描いてる点で、男版『シンデレラ』と言うべき作品になっているのですが、単に主人公アラジン自身の成り上がりを描いてるだけでなくジャスミンジーニーといった他の主要キャラクターの「解放」をも描いてる点で、『シンデレラ』の上位互換とも言える作品になってるんですよね。『シンデレラ』では主人公のシンデレラが夢を叶える点にのみ焦点を当ててましたが、『アラジン』では主人公のアラジンだけでなくジャスミンジーニーまでもが夢を叶えてる点が素晴らしいんですよね。

 アラジンは自分の夢を叶えただけではなく、ジャスミンジーニーの夢を叶えさせた存在でもあるのです。むしろ、ジャスミンジーニーの「自由になりたい」と願いを尊重し叶えてあげるような優しさのあるアラジンだからこそ、本人もジャスミンと結ばれるという夢を見事に叶えることができたのです。この展開が非常に説得力のあるものになってるんですよね。


説得力のある恋愛と友情

 本作品では、アラジンとジャスミンの恋愛及びアラジンとジーニーの友情という二つの絆が描かれています。このどちらもが説得力のある展開になっています。特に、恋愛感情についてはそれが顕著です。前の記事で述べた通り、前作『美女と野獣』では、それまでのプリンセスもののディズニー映画と違い、主要登場人物二人の間に恋愛感情が芽生えた理由がちゃんと説得力をもって描かれていました。本作品もその流れは汲んでおり、ジャスミンがアラジンに惚れた理由はちゃんと説得力のあるものになっています。

 ジーニーの魔法の力でアラジンはアリ王子に扮しますが、ジャスミンがアラジンに惚れた理由は決して「アリ王子」ではないんですよね。ジャスミンはアリ王子の地位や財産なんかには興味がなく、そうではなく「ダイヤの原石」と言われたアラジンの人柄や彼のしてくれたことに惚れたのだということが分かります。そもそも、ジーニーが登場する前に市場で会った時から、すでにジャスミンはアラジンに魅力を抱いていたことが分かりますからね。貧しい暮らしをしてるにも関わらず、ジャスミンを助け、彼女の境遇に同情する優しさを持つアラジン。そんなところにジャスミンは魅かれていたのだと分かる描写がなされています。

 そして、極めつけは有名な名曲"A Whole New World"が流れる辺りのシーンでしょう。ジャスミンがそれまで振って来た数多の王子とは違い、アラジンは「ジャスミンは戦利品じゃない。君にも相手を選ぶ権利がある」と言い、彼女の自由意思を尊重する姿勢を見せます。そして、「王宮に捕らわれの身」であるジャスミンを魔法の絨毯で王宮から連れ出し、外の世界を彼女に見せてあげるのです。

 このように、アラジンは「ジャスミンに自由を与える存在」として描かれてるんですよね。王宮に縛り付けられているジャスミンの「自由に外の世界を見て回りたい」という夢を叶えてあげる存在がアラジンであり、だからこそジャスミンもアラジンに惚れたのです。このように、本作品では主要登場人物二人の恋愛模様においても「自由」というテーマが鍵となっていることが分かりやすく描写されてるんですよね。そこに「テーマの一貫性」が生じてる。

 この点はアラジンとジーニーの友情に関しても同じです。アラジンは、ジーニーと出会ってすぐに彼の「自由になりたい」という夢を最後に叶えることを約束します。ジーニー自身も「今までの主人と違う」と言ってアラジンのそんな優しさを嬉しく思っています。こういうシーンが描かれているからこそ、ジーニーとアラジンの間に友情が芽生えることに説得力が生じてるんですよね。そして、ここにもジーニーの「自由」というテーマが一貫して描かれている。


主人公の魅力

 本作品はジャスミンジーニーにも自由を与える物語ではありますが、それでもあくまでも主役はタイトルの通りアラジンただ一人です。本作品の監督ジョン・マスカー&ロン・クレメンツは前作『リトル・マーメイド』でも、あくまでも主役をアリエルに据えて彼女を中心に物語を描いてましたが、この点は『アラジン』にも共通しています。中心人物をあくまでも主人公一人に設定するのはこの監督たちの特徴なのかもしれません*3。それゆえに、下手な群像劇のように複数視点が入り混じって物語が複雑になりすぎることもなく、一本筋の通った分かりやすくて面白い物語に仕上がってるんですよね。

 この作品はあくまでも「アラジンの成り上がりと成長」の物語として描かれています。それゆえに、アラジンのキャラ設定は非常に良く練られてるんですよね。上のほうで、ジャスミンジーニーの「自由になりたい」という夢を叶えてくれる存在としてアラジンが描かれていることを述べましたが、彼についてはそのような「ダイヤの原石」としての魅力だけでなく欠点もしっかりと描かれてるんですよね。

 その欠点とは「自分に対する自信のなさ」とそれに起因する「虚栄心」でしょう。本作品では、アラジンが自身の本当の魅力に気付き、ありのままの自分を見せることももう一つの主要テーマとして描かれています。これまで述べて来たように、アラジンには「ダイヤの原石」として扱われるだけの魅力がしっかりあり、その点にジャスミンジーニーも魅かれたのです。しかし、不思議なことに肝心のアラジン自身はそんな自分の魅力に自信を持てず、ドブネズミではない「アリ王子」の振りをあくまでもし続け、ジャスミンとの結婚が認められた後も「国王としてやっていく自信がない」と弱音を吐きます。

 挙句の果てには「今まで上手く行ったのはみんなジーニーのお陰だ」と言い、彼を解放する約束すら反故にしようとしてしまいます。上述の通り、ジャスミンがアラジンに惚れたのは決してジーニーの魔力なんかのお陰ではないことを視聴者は知ってるので、このシーンでのアラジンのセリフは少し滑稽に見えてしまうんですよね。

 しかし、結局アラジンはジーニーの助言に従い、ジャスミンに本当の自分の正体を告げることを決意します。いつまでも虚栄心に縋ってるだけなのは良くないと気付くわけです。こういうふうに、アラジンの「欠点」とそこからの「脱却」「成長」が描かれている点も本作品の魅力なんですよね。この作品はジーニーでもジャスミンでもなくあくまでもアラジンを主人公とする物語なのだということを改めて実感させてくれる話になっていると思います。

 この作品は、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』に続く第二期黄金期のディズニー・プリンセス登場作品でもあります。しかし、本作品の主人公はプリンセスのジャスミンではなくプリンスのアラジンのほうです。これまでの記事で述べて来た通り、当初のディズニー映画のプリンセスものでは王子のキャラクターはそこまで掘り下げられていませんでした。『白雪姫』や『シンデレラ』では王子が完全な空気と化してました。『眠れる森の美女』や『リトル・マーメイド』では王子が空気キャラを脱却し活躍を見せるようになりましたが、それゆえに王子が「普通の格好良い人」として描かれ過ぎてて逆に特徴がないようにも思えます。この傾向を変えたのが前作『美女と野獣』であり、王子であるビーストを欠点だらけのキャラクターとして描くことで彼に強烈な個性を与え、ベルと並ぶもう一人の主人公にまで仕立て上げました。

 そして、今作『アラジン』ではその流れを継承&発展させます。本作品はとうとうプリンスのアラジンンのみを主人公にして、プリンセスはあくまでも脇役となったのです。つまりプリンスとプリンセスの間の主役交代が起きたのです。あくまでもプリンセスが主人公だった『リトル・マーメイド』から、プリンセスとプリンスのダブル主人公体制の『美女と野獣』を経て、プリンスのみが主人公の『アラジン』へと変化したのです。この点で、映画『アラジン』は新しいタイプのプリンセスもののディズニー映画だと言うことができそうです。*4


アラジン自身の活躍

 素晴らしいディズニー映画には素晴らしいアクションが付き物であり、本作品も終盤のアクションはとても目を見張る出来になっています。しかも、本作品のアクションシーンが素晴らしいのはその迫力もさることながら、何と言っても「アラジンが自分の力で活躍した」という点なんですよね。ここに「アラジンを主人公とする物語」であるがゆえの本作品の素晴らしさが反映されています。

 今までジーニーの力に頼って来ただけだと思っていたアラジンが*5、悪役のジャファーにジーニーを奪われたことで、「ドブネズミ」としての自分の力のみでジャスミンを助けざるを得なくなったのが終盤のアクションシーンなんですよね。そして、見事アラジンはジーニーの力に頼らずに、持ち前の「ドブネズミ」らしい機転でジャファーを倒すことに成功します。このように、ちゃんと「主人公アラジンの活躍」が説得力をもって描かれ、その活躍によって「悪役を倒す」という分かりやすいカタルシスを生まれているんですよね。この点も映画『アラジン』の最大の魅力の一つだと思います。

 実は、これまでのディズニー映画においてディズニー・ヴィランズの倒し方というのはわりと雑なものが多いです。しかも、主人公たちの活躍によるものではなく悪役自身の自爆や偶然の不運によって悪役が倒されるというパターンもかなり多いです*6。主人公やその仲間自身の活躍によって悪役を倒したパターンもいくつかありますが、その場合もストレートな武力によるものが目立ち、そういうパターンだと今まで強そうだった悪役があっけない傷で死んでしまうので「えっ、そんなあっさり死んじゃうの?」と拍子抜けする感想も出てきちゃいます*7。もちろん、武力ではなく主人公自身が知恵を働かせて倒したディズニー映画の例も『アラジン』以前にいくつか存在していますが*8、その「機転」が一番「上手いな」と思ったのが『アラジン』なんですよね。

 単に変装して忍び込んだだけのロビン・フッドなどと違って、アラジンの活躍はしっかりと上手く知恵を働かせてジャファーを騙す方法であり、幼い頃の僕はこれを見て「アラジン、めちゃくちゃ頭良いな!」って大いに感心したものです。しかも、前半でジーニーが言っていた「魔神には自由がない」というセリフがしっかりと伏線になってる倒し方なんですよね。前半での何気ない展開がラストで悪役を倒す際の伏線として上手く機能してると言う点は、後の『シュガー・ラッシュ』や『ズートピア』などを彷彿とさせる上手さだと思います。まさに「伏線が秀逸」な作品なんですよね、『アラジン』は。だからこそ、最後のアラジンの活躍に対して素直に「頭良いな!」と感心することができる。

 この伏線の上手さによってアラジンの頭の良さや機転がしっかりと描写されているからこそ、アラジンの魅力がまた一段と高まるんですよね。まさに「理想的な主人公」になっています。ジーニーの力ではなく「ドブネズミ」としての自分だけの力でジャファーを倒したことをアラジン自身も実感できる素晴らしいアクションシーンだと思います。


映像の凄さ

 もちろんアクションシーンそれ自体の映像的な迫力も素晴らしいです。特に、大きなヘビに変身したジャファーの迫力は凄まじいものがあります。砂時計の中に閉じ込められたジャスミンの存在が緊迫感を上手く演出しており、非常にスリル満点の戦いとなっています。彼とアラジンのバトルシーンはディズニー映画のベストバウトに入ると思います。目を見張る映像でしょう。

 本作品はそれ以外にも美しい映像が多数見られます。オープニングの"Arabian Night"や有名な"A Whole New World"のシーンで映し出される夜のアグラバーの街並みはめちゃくちゃ美しいです。綺麗でロマンティックな異国情緒あふれる夜景だと思います。夜にも関わらず色使いが暗すぎず美しい雰囲気を醸し出していて素敵なんですよねえ。

 また、CGを駆使したトラ型の魔法の洞窟のアニメーション映像も圧巻です。このトラが喋るシーンはすごく迫力があって恐ろしいアニメーションに仕上がっています。崩壊する洞窟の中をアラジンたちが魔法の絨毯に乗って逃げ回るアクションシーンも迫力満点で素晴らしいです。溶岩の映像がとても綺麗でリアルなんですよねえ。ディズニーの映像技術の巧みさが存分に発揮されてます。


コメディ要素

 本作品が今までの第二期黄金期のディズニー作品と少し違う点は、かなりコミカルな演出が目立つ点だと思います。もちろん、『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』でもギャグシーンは存在しましたが、本作品は「ジーニー」という「なんでもあり」なキャラクターの存在により、それまでの作品とは違いかなり「カートゥーン」的なギャグが目立っています。この点は人によっては敬遠される要素になるかも知れません。あまりにもギャグ演出が漫画的すぎるせいで、『美女と野獣』などと比べるとチープに感じるという意見は確かに一理あるかも知れません。

 しかし、だからこそ僕はこの『アラジン』という作品がめちゃくちゃ好きなんですよね。この何とも言えないチープさが本作品を庶民にも手の届く「大衆娯楽」って感じの作品にしてると思っています。僕はそんな大衆娯楽映画にこそ愛着が湧きますし、大好きになれます。『美女と野獣』なんかは文字通り「最高傑作」って感じがして、ある種の「高尚な芸術作品」のような美しさがあるのですが、『アラジン』にはそういう敷居の高さはありません。ジーニーのコミカルなキャラクター性によるカートゥーンっぽさが、本作品に対する親近感を出してるんですよね。それでいながら、ストーリーはとても上手に作られているのでしっかりと「面白い」大衆娯楽作品に仕上がっています。その点が『アラジン』の魅力の一つだと思います。


感動要素

 上で述べた通り、『アラジン』は大袈裟なコメディ要素のせいで多少のチープさが出ていますが、それでも他の第二期黄金期のディズニー作品に負けず劣らずしっかりと視聴者を感動させるだけの展開が用意されています。決して、単に安っぽくて笑えるだけのギャグアニメでは終わっていません。その点で、単にコミカルなだけで感動が薄かった暗黒期の作品群とは違います。『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』に匹敵するだけの十分なエモさがラストシーンにはあります。

 先述の通り、「自由」や「アラジンの成長」という一貫したテーマに基づいて無駄なくストーリーが描かれてるから、コメディ要素が強く入っていてもきちんと終盤では感動できるんですよねえ。エンディングで、アラジンが「もう自分を偽るのをやめる」ことを決意し、最初の約束通りジーニーを解放するシーンではとても目頭が熱くなります。僕は一時期このシーンを見て何度も泣きました。とても感動する素晴らしいラストなんですよねえ。この感動要素は、それまでの『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』などと比べても決して劣っていないと思いますね。素晴らしいです。


緊張感もちゃんとある

 コメディ要素が強めの『アラジン』ではありますが、それでも作品全体から漂うシリアスさは決して損なわれてない点が本作品の魅力でしょう。上述の通り、しっかりとエンディングでは感動させてくれますし、アクションシーンもスリルがあってハラハラさせられるもになっています。本作品の悪役であるジャファーとイアーゴのコンビはどちらも少々コミカルなキャラクターとして描かれているのですが、それにも関わらず終盤のアクションシーンではかなり絶望感のある敵として描かれてるんですよね。

 これは、ジャファーが終盤でジーニーというチートキャラを手に入れたからなんですが、この展開ゆえに終盤のアクションシーンでは「ジーニーに頼らないアラジンの活躍」を見せる効果のみならず、絶望感のある敵を演出させる効果も出している。非常に上手い展開だと思います。だからこそ、終盤のアクションシーンにおける緊迫感がかなり強いものとなっているんですよね。

 ジャファーが二つ目の願いを「世界一の魔法使いにする」という自己強化に使ったのも頭が良い展開だと思います。これゆえに、ジャファーが完全なチートキャラと化し、それに立ち向かわなきゃいけないアラジンの絶望感をより強く際立たせている。


洗練されたキャラクター設定

 本作品は、キャラクターの数が意外と少ないように見える点にも特徴があると思います。主要キャラは、アラジンとジャスミンジーニーの3人だけです。これに悪役のジャファーやその手下イアーゴ、ジャスミンの父サルタンなどが加わり、言葉を喋るキャラクターで出番が多いのはこの6人だけとなっています。あとは、言葉を喋らないアブーやラジャー、魔法の絨毯などのマスコット的な脇役がいる程度です。

 よくよく数えると主要キャラの数は他のディズニー作品と比べても大差ないんですが、エンディングでは上記のキャラクターしか画面に映らないため、『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』のような「たくさんの人が総出で主人公たちを祝う」大団円っぽいエンディングに比べると、少しエンディングの画面が寂しく見えるのかもしれません。

 しかし、そのことが決してマイナス要因としては働いてないんですよね。むしろ少ないように見えるキャラだからこそ、それぞれのキャラクターの個性が強烈に印象づけられています。見た後に記憶に残りにくい「空気なキャラクター」はこの作品には皆無です。つまり、本当に魅力的なキャラクターのみを集めた「少数精鋭」っぽさをこの映画のキャラクター設定には感じるのです。そういう意味で「洗練されたキャラクター設定」だと言うことが出来ると思います。


各キャラクターたちの魅力

 以下、そんな各キャラクターについて語っていきます。と言っても、主人公アラジンの魅力については上で散々語りつくしたので、アラジン以外のキャラについて語ります。

ジャスミン

 本作品のヒロインです。ヨーロッパ外の地域出身のディズニー・プリンセスは彼女が初めてだと言われています。王宮での不自由な生活に不満を抱き政略結婚にも反発するキャラクター設定は、「自由」をテーマとする本作品のストーリーにも見事に合っています。自由恋愛を強く志向したり、王宮の外の世界の暮らしに憧れたりする点では、『リトル・マーメイド』のアリエルを彷彿とさせます。『リトル・マーメイド』も『アラジン』も監督は同じジョン・マスカー&ロン・クレメンツのコンビなので、実際多少は影響し合ってるのかも知れません。

 しかし、似てる点も多少あるとは言え、アリエルとジャスミンはそれぞれ全く違う性格のキャラクターとして描かれているので、「二番煎じ感」は全くないです。ジャスミンはアリエル以上に気が強いキャラクターとして描かれており、父サルタンやアリ王子や悪役ジャファーに対しても強い口調で自分の意思を主張するシーンが何度か描写されています。また、終盤でのジャファーとの戦いのシーンではアラジンに協力するためにジャファーを誘惑するなど、なかなかの強かさを見せています。こういうかなり「逞しいキャラクター」として描かれてることで、ジャスミンはなかなかに魅力的なヒロインになっていると思います。

 特に、終盤でジャスミンがジャファーを誘惑するシーンは、彼女のそういった逞しさが良く反映されているので個人的に大好きなシーンですね。主人公のアラジンだけでなく、ジャスミンもかなり機転の利くキャラであることが描かれている。しかも、アラジンとジャスミンが協力して上手く機転を利かせてトラブルを解決するシーンは前半でも描かれてるんですよね。市場で二人が初めて出会ったシーンがそれです。このシーンでアラジンに合わせて狂人のふりをするジャスミンの咄嗟の機転が描かれてるからこそ、終盤のアクションシーンでアラジンを助けるためにジャファーを誘惑するのも自然な展開になっている。この点も本作品の「伏線の上手さ」が良く現れたシーンだと思います。

ジーニー

  本作品の感動要素でもありコメディ要素でもある名脇役です。ここまで完璧な名脇役はなかなかいませんよ。彼の声を担当してるロビン・ウィリアムズ氏の演技力も素晴らしいですね。時に笑わせ時に泣かせてくれる、アラジンの良い友人キャラとして描かれています。これまでのプリンセスもののディズニー映画でも主人公の恋の成就を支えてくれる名脇役はたくさんいました。『シンデレラ』のジャックとガス、『眠れる森の美女』の三人の妖精たち、『リトル・マーメイド』のセバスチャンやフランダ―などがそうです。しかし、ジーニーはこれらの脇役以上の存在感を放っていると僕は思います。と言うのも、彼は単に主人公の恋の成就を支えるだけでなく、主人公との明確な友情関係を強調して描写されてるからです。主人公との絆に焦点が強く置かれているという点で、ジーニーのキャラは『白雪姫』の7人の小人を彷彿とさせる部分もあります。

 先述の通り、この『アラジン』という映画では、主人公アラジンとジャスミンとの間の恋愛だけでなく、アラジンとジーニーとの間の友情もかなり丁寧に描かれてるんですよね。異性間のラブロマンスだけでなく同性同士の友情も重要な要素として描かれているディズニー映画は当時としてはとても珍しかったと思います。かつてのディズニー映画だと例えば『きつねと猟犬』なども友情と恋愛の両方が描かれていましたが、あれはどちらかという「友情」のほうが中心的テーマでありトッドの恋愛にはそこまで重点が置かれていませんでした。それに対し『アラジン』では、アラジンとジャスミンの間の恋愛も、アラジンとジーニーの間の友情も、どちらも本作品のテーマに関わる重要な要素としてかなり強調して描かれています。

 このバランス感覚の良さが素晴らしいんですよね。それゆえに、ジーニーはジャスミン同様に本作品にとって欠かせないキャラクターとなっています。アラジンの大親友という重要な役割を担ってるんですよねえ。彼らの間にそのような美しい友情があるからこそ、アラジンは最後にジーニーを解放してあげるのです。この点が、「自由」という本作品のテーマにも繋がってるんですよねえ。本当に上手いです。

 また、コメディ要素としてもジーニーは面白いキャラクターとして描かれています。明らかに中世のアラビアらしからぬ恰好や仕草を頻繁に披露するジーニーのキャラはとても笑えます。ジーニーのこの「世界観にそぐわない演出」が、本作品をシリアスにさせすぎずに、気軽な気持ちで見させてくれるちょうど良いギャグ要素として機能してるんですよねえ。そして、こういう面白い魅力的なキャラクターとしてジーニーが描かれてるからこそ、観客もジーニーを自然と好きになるんですよね。

 だからこそ、ジーニーがラストでついに自由を手にするシーンで一緒に喜び、アラジンとの友情についつい涙を流してしまうんですよねえ。本当に感動的なラストです。僕は何度見てもこのシーンで泣いてしまいます。

ヴィラン

 ジャファーとイアーゴの漫才コンビも、本作品におけるコメディ要素と緊張要素の両方を担う名悪役でしょう。ジャファーとイアーゴのコミカルな掛け合いは、ジーニーのジョークと並んで本作品のコメディ要素として働いています。特にジャファーのイアーゴに対する扱いが面白いんですよね。結構ジャファーから酷い目に合わされているイアーゴが普通に可愛らしいし、そのカートゥーン的な動きも笑えます。本当にこの二人の漫才コンビっぷりが良い味を出してるんですよね。とても笑える面白いヴィランズだと思います。

 しかも、本作の悪役描写が上手いのは、コミカルでありながらジャファーもイアーゴも決して「間抜け」なキャラとしては描かれていない点なんですよね。『おしゃれキャット』の悪役エドガーはあまりにも間抜けな悪役だったためコミカルではあったものの緊迫感にも欠ける物語となってしまっていましたが、そういうのとは違ってジャファーもイアーゴもそれなりに悪知恵の働く狡猾なヴィランズとして描かれています。だからこそ、コミカルなキャラではありつつも決して作品内の緊張感を損ねてないんですよね。特に、先述した通り、終盤でジャファーがジーニーを支配下に置いてからの絶望感はなかなかのものです。誰も敵いそうにない絶望感のある敵としてジャファーが君臨してるので、ハラハラドキドキしながら物語を視聴することができます。本当に名悪役だと思います。

サルタン

 しばしば言われますように、本作品はサルタンが国王にしては少々無能に描かれている印象があります。まあ、国王としては確かに少々無能で威厳には欠けますが、お茶目で人柄の良い性格として描かれてるので親しみの持てるキャラクターにはなっています。僕はなんだかんだでサルタンのキャラも好きですね。ラストで、サルタンがジャスミンのことを思って法律を改正するシーンも好きです。なんだかんだで娘思いの良い父親として描かれているんですよね。

 中盤でジャファーに対して、「ジャスミンの嫌がる相手と結婚させるわけにもいかないじゃろ」と言ったり、なんだかんだでサルタンも娘の自由意思をそれなりに尊重してるところは描かれてるんですよね。国王としてはジャファーの傀儡になりがちな無能ですが、ジャスミンの父親としては普通に素晴らしい魅力的なキャラだと思います。僕は好きです。*9

アブー&魔法の絨毯

 個人的に、アブーのクソガキ感があまり好きになれないんですが、一方で魔法の絨毯のキャラはわりと好きですね。というか、このキャラクターのアニメーションによる表現は素晴らしいと思います。アブーと同じくアラジンの友達キャラとして登場するのですが、アブーとは違ってセリフだけでなく表情すらない状態で感情を表現できてるのがすごいです。

 アブーのような喋らない動物キャラクターの感情をその表情や身振りだけで的確に表現する技術は、ディズニーが今までのアニメーション制作を通して培ってきた技術であり、それゆえに新しさはあまりありません。しかし、魔法の絨毯のようなセリフだけでなく顔すらもないキャラクターの存在はディズニーでも珍しいです。言葉も喋らなければ顔すらもないキャラクターの感情をここまで巧みに表現できてるのは、ディズニーのアニメーション映像の実力の凄さだと思います。お陰で、魔法の絨毯がとても魅力的で可愛らしいキャラクターになっています。大好きなキャラクターです。


音楽

 先述の通り、本作品もミュージカル映画だけあってたくさんの劇中歌が登場します。中でも特に有名なのが、"A Whole New World"でしょう。映画『アラジン』のみならず全ディズニー映画の音楽の中でもトップレベルに有名な曲であり、僕も"When You Wish Upon a Star"と並んで歴代で最も大好きなディズニーソングの一つです。本当に感動的でとても美しいバラードなんですよねえ。とにかく名曲としか言いようがないです。この曲に合わせてアラジンとジャスミンが魔法の絨毯で世界中を飛び回る映像演出も素晴らしいんですよねえ。「自由に外の世界を見たい」と言うジャスミンの夢をアラジンが叶えてあげる素晴らしいシーンです。上述の通り、映像もめちゃくちゃ綺麗です。心の底からエモい気分に浸れる名曲中の名曲だと思います。とにかく大好きすぎる。

 本作品でもう一つ有名な曲がジーニーの持ち歌"Friend Like Me"でしょう。ロビン・ウィリアムズ(英語版)の歌声もやまちゃん(日本語版)の歌声もどっちも素晴らしいです。アップテンポでとても楽しくなる曲です。何度でも口ずさみたくなるようなとてもキャッチーなリズムと派手なブラスの音が特徴的な名曲でしょう。一緒に映るジーニーの「なんでもあり」な映像演出も視覚的に楽しくて大好きです。音楽と映像が見事に合ってる素晴らしいミュージカルシーンだと思います。

 また、本作品は『千夜一夜物語』が原作なだけあって、アラビア風のエキゾチックな曲想の劇中歌もいくつかあります。"Arabian Nights"と"Prince Ali"です。"Arabian Nights"はオープニングで流れる名曲です。タイトル通り「アラビアン・ナイト!!」って感じのものすごくエキゾチックな曲想が特徴的です。オープニングで少し流れるだけの短い曲ですが、それでもサビの盛り上がりにはとても興奮しますし、何度でも歌いたくなる曲だと思います。ちょっとミステリアスで神秘的な雰囲気なのが素晴らしいんですよねえ。

 "Prince Ali"のほうもエキゾチックな曲想ですが、こちらは"Arabian Nights"と違って豪華で華やかな雰囲気の曲想になっています。まさに、「アラビアの大金持ちのパレード!!」って雰囲気が全面に出た名曲だと思います。後半の全員でコーラスするフレーズが個人的に特に大好きですね。エキゾチックなメロディでありながらしっかりと耳に残るフレーズにはなっています。とても良い曲だと思います。

 この"Prince Ali"は終盤でジャファーのヴィラン・ソングとしてもrepriseされます。このrepriseのほうではジャファーの嫌らしい歌い方がこれまた良い味を出してるんですよねえ。ジーニーの力で世界一の魔法使いとなったジャファーの無双っぷりが見れるシーンでもあり、とても絶望感のあるシーンなんですよね。その絶望感をより強く演出する音楽として上手く機能しています。特に、曲の終わりでジャファーが高笑いするシーンでの音楽の盛り上がりが素晴らしいです。お手本のようなヴィラン・ソングだと思います。

 他にも、主人公アラジンの初登場シーンで流れる"One Jump Ahead"のような名曲もあります。衛兵から逃げ回るアラジンの面白いアクション映像とともに、流れる爽やかで楽しげなメロディの曲です。途中で"A Whole New World"の一部と同じフレーズが使われているのも印象的な曲ですね。耳に残る楽しげな曲だと思います。この曲もそのすぐ後にrepriseされるシーンがあるのですが、reprise後はちょっとバラード風の悲しげな雰囲気にアレンジされています。こっちはこっちでとてもエモい感じの歌い方で好きです。人々からドブネズミと蔑まれているアラジンの悲しい境遇が良く歌われた名曲だと思います。


とにかく全てが大好きな名作

 ここまで『アラジン』の魅力を延々と語ってきましたが、ぶっちゃけまだ語り足りません、本当は、作中で何度も繰り返される"Trust Me"というアラジンのセリフのエモさや、クラッカーに恨みを持つイアーゴの面白さとか……etc細かい魅力をいくらでも語りたいんですがキリがないのでこの辺で終えます。

 とにかく全てが完璧な作品がこの映画『アラジン』だと思うんですよねえ。音楽も映像もキャラクターもストーリーも全てが良く出来ていて、文句のつけようが全くないです。秀逸な伏線が目立ち、一貫したテーマに基づき進むストーリーも素晴らしいし、洗練されたキャラクターたちの魅力も素晴らしいし、CGを駆使した綺麗すぎる色使いの映像も素晴らしいし、アラン・メンケンやハワード・アシュマンやティム・ライスという豪華アーティストによる名曲の数々も素晴らしいです。

 本当に、僕は全ディズニー映画の中でも間違いなく『アラジン』が一番好きな作品であると断言できます。それぐらい大好きな作品なんですよね。幼少期から何度も繰り返し見てきました。本当に素晴らしい名作です。大好きすぎる。








 以上で、『アラジン』の感想記事を終わりにします。案の定、めちゃくちゃ長い記事になってしまいましたね……。まあそれだけ好きな作品なので仕方ないです(苦笑)。次回は『ライオン・キング』の感想記事を書く予定です。それではまた。

*1:具体的には、"Arabian Nights"と"Friend Like Me"と"Prince Ali"がハワード・アシュマン氏の作詞で、"One Jump Ahead"と"A Whole New World"と"Prince Ali (reprise)"がティム・ライス氏の作詞です。

*2:なお、ジーニーの声優は日本語吹き替え版のほうも有名人を採用しています。「やまちゃん」の愛称で知られている山寺宏一氏です。

*3:後に彼らが監督を務めた『ヘラクレス』や『モアナと伝説の海』などでもその傾向が見られます。

*4:もはやプリンセスではなくプリンスが主人公なので、「プリンセスもの」と呼ぶべきではないかも知れませんが……。

*5:もちろん実際のアラジンの成功は決してジーニーだけの力によるものじゃないことは視聴者には明らかなんですけどね。アラジンはこの時点ではそうは思えていなかったということです。

*6:例えば、『白雪姫』や『101匹わんちゃん』、『美女と野獣』などでの悪役の倒し方がそうです。

*7:『眠れる森の美女』や『リトル・マーメイド』などがその例です。

*8:ロビン・フッド』や『王様の剣』などがその例です。

*9:なお、完全な余談ですけど「サルタン」ってのは固有名詞じゃなくてイスラム圏でよく使われる君主の称号のことです。世界史の教科書とかでは良く「スルタン」って書かれてるあれです。英語発音だと「サルタン」になります。ついでに言うと、「ジーニー」も固有名詞ではなくイスラム圏で「精霊」を意味する一般名詞です。