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てねーるのブログ記事です

【ディズニー映画感想企画第17弾】『101匹わんちゃん』感想~悪役の存在感が凄まじい名作~

 ディズニー映画感想企画第17弾は『101匹わんちゃん』の感想です。個人的に、この映画は第一期黄金期の作品の中では『シンデレラ』と並んで小さい頃からめちゃくちゃ大好きなディズニー映画なので、いつも以上に熱が入った記事になるかも知れません。

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【基本情報】

技術史的に意義の大きい作品

 『101匹わんちゃん』は17作目のディズニー長編アニメーション映画として1961年に公開されました。原作はイギリスの作家ドディー・スミス氏の小説"The Hundred and One Dalmatians"です。前の記事で述べた通り、前作『眠れる森の美女』が莫大な製作費をかけたにもかかわらずイマイチな興行成績となってしまったため、『101匹わんちゃん』の制作では出来る限りコスト削減が要求されました。

 そのようなコスト削減のために、『101匹わんちゃん』では初めてゼログラフィーと呼ばれる技術が活用されました。これは今でいうコピー機のような技術で、この新技術によって、アニメーターが紙に描いた原画をセル画にそのまま転写することが可能になりました。従来は全て手作業でセル画に描き写していたため、この新しいトレスマシンの導入によってアニメーターの手間が大幅に減った訳です。

 ゼログラフィーのようなトレスマシンによるセル画への転写はその後のセル画アニメーションの基本となる技術ですが*1、それを初めて導入したディズニーアニメーションがこの『101匹わんちゃん』だったのです。もし101匹もの数の犬の絵をいちいち手作業で全て描いていたら莫大な手間になります。その大変な作業コストを、トレスマシンの導入により大幅に抑えた訳です。*2

 この点で『101匹わんちゃん』はアニメーションの技術史において重要な転換点となる作品だった訳です。


興行的成功と後の実写化

 興行収入がイマイチで赤字となってしまった前作『眠れる森の美女』とは違い、『101匹わんちゃん』は興行的に成功を収めます。公開当時の批評家からの評判もかなり良く、大絶賛する声が多かったそうです。そのため、『101匹わんちゃん』は第一期黄金期にふさわしい成功作と言えると思います。

 『101匹わんちゃん』はその後もディズニー史に残る名作として高い人気を誇ったからか、ディズニー長編アニメーションの中ではかなり早い時期に実写映画化もされています。昔のディズニーアニメを実写化するブームがここ最近ありますが、『101匹わんちゃん』はそんなディズニー実写化ブームが来るはるか前の1996年に『101』というタイトルで実写化されてもいます。さらにはこの実写化の続編映画『102』まで作られています。ある意味、ディズニー実写化の先駆けとなった作品と言えるでしょう。*3




【個人的感想】

総論

 この記事の冒頭でも述べた通り、僕は『101匹わんちゃん』の映画が小さい頃からめちゃくちゃ大好きです。歴代ディズニー映画で好きな作品上位10位には入れたい程度には好きな作品ですね。第一期黄金期の作品の中では『シンデレラ』と並ぶ傑作中の傑作だと思っています。

 実際、この作品はストレートに「面白い」んです。それまでのディズニー映画にあるようなロマンティックさは少し欠けるかも知れませんが、その分とてもスタイリッシュでお洒落な作風に仕上がっていると思います。そして、発想がとにかく新鮮で面白い。同じ犬の映画でもロマンティックな王道ラブロマンスに仕上がっている『わんわん物語』とは違い、『101匹わんちゃん』は現代を舞台にした面白いサスペンス兼ミステリー兼アクション映画になっていて、その作風の独特さが魅力的なんですよねえ。

 以下、具体的に僕がこの作品で好きに思ったポイントを語っていきます。


絵柄

 前作『眠れる森の美女』がかなり独特な絵柄であったことは前回の記事で触れましたが、『101匹わんちゃん』の絵も前作『眠れる森の美女』とはまた別方向でかなり独特な雰囲気になっています。それまでのディズニーアニメっぽいリアリティはこの作品でも消えています。その代わり、かなり「漫画のラフなネームっぽい」絵だなあと感じます。別の言い方をすると、いわゆる「印象派」の絵画っぽい絵柄です。*4

 線の描き方や色の塗り方がかなりラフで、今までの『わんわん物語』までのディズニーアニメとは明らかに画風が変わっています。これはやっぱりゼログラフィーを初めて利用したことによる影響なんでしょうか?ちょっと僕には理由が完全には分かりません。でも確かに、線画や色彩のラフさに対しては「アニメーターの原画をそのままコピーしたような絵柄だなあ」という感想を抱きます。そういうラフさが『101匹わんちゃん』の絵にはあるんですよね。

 でも、こういう絵柄が決してマイナス要因にはなってないです。むしろこの絵柄ゆえに本作品はスタイリッシュでお洒落な雰囲気になっていると思います。このお洒落さが『101匹わんちゃん』の魅力の一つなんですよね。『眠れる森の美女』もかなり独特な雰囲気の絵柄で、あれはあれで味のある絵でしたが、単純な好みとして僕は『101匹わんちゃん』のような絵柄のほうが好きです。どことなくスタイリッシュで格好良いです。モダンな感じ。*5


現代世界が舞台であるがゆえの面白さ

 一昔前のファンタジー世界が舞台となることが多いディズニー作品において、『101匹わんちゃん』は現在のロンドンが舞台になっている珍しい作品なんですよね。まあ、現在といっても公開年が1961年なので「1961年当時の現在」ではあるんですが、そんな‟現在風の”小道具が作品内にいくつか登場しています。

 そういった小道具の中でも特に印象的なのはテレビでしょう。『101匹わんちゃん』の公開した1961年はすでに一般家庭にテレビが普及していた時代です。「現代世界が舞台であること」を印象付けるために、本作品では登場キャラクターたちがテレビ番組を見ているシーンが何度か現れ、それなりに重要なシーンとなっています。この作品で犬たちやコソ泥たちがテレビを見ているこれらのシーンが僕は昔から大好きで印象に残ってましたね。

 そして、もう一つの現代的な小道具が自動車でしょう。自動車は『イカボードとトード氏』や『わんわん物語』でも出てきますが、あれらはどちらも20世紀初頭の‟古い”自動車です。同時代の自動車ではありませんでした*6。それに対し、『101匹わんちゃん』で登場している自動車は同時代の‟今風の”自動車です*7。そして、本作品の終盤ではこの自動車による派手なアクションシーンがあるんですよねえ。終盤のこのアクションはこの作品の見どころの一つであり、本作品が現代舞台であるからこそ出来る迫力満点のアクションに仕上がっています。

 『101匹わんちゃん』の公開された1961年のアメリカではすでにテレビも自動車も一般家庭の間に普及していました*8。それゆえに、これらの小道具の登場は、本作がディズニーには珍しい「現代が舞台の作品」であるということを観客に強く印象付けてくれます。この点が子供の頃の僕にはとても嬉しかったんですよね。「僕らが住む現代の日常的世界」が舞台だからこそ出てくる「日常の中に潜むちょっとしたディズニー風ファンタジー」感が『101匹わんちゃん』には感じられるんですよね。


ストーリー

 『101匹わんちゃん』は、ストーリーが純粋に面白いです。これまでのディズニー映画のような感動要素は少し薄いかもしれませんが、目まぐるしく変わる展開と緊張感あるサスペンスやアクションのお陰で飽きずに最後までのめり込んで見られるとても面白いストーリーに仕上がっています。

 そう。『101匹わんちゃん』はちょっとサスペンス・ミステリー風味のある作品なんですよね。特に、中盤で犬たちが遠吠えでの連絡を駆使して捜査するシーンは、一風変わった「捜査パート」って感じでミステリードラマっぽさが際立ってます。人間たちではなく犬たちによる捜査である点が、普通のミステリーとは少し変わった感じを醸し出しており、この作品の「面白さ」に繋がっています。まあ、子犬誘拐の犯人がクルエラであることは初っ端から明らかなので‟謎解き”の楽しさはないんですが、誘拐された子犬の居場所捜索の過程はしっかりとサスペンスやミステリーっぽい雰囲気になってます。面白いです。*9

 そして、子犬たちの居場所が分かった後の脱出劇も面白いんですよね。ここの緊張感はなかなかに絶妙です。サスペンスの王道を踏まえたスリルある演出になっていると思います。ジャスパーとホーレスの目をかいくぐって何とかしてクルエラの屋敷から脱出する過程が面白いです。スリルある展開になっています。その後も馬小屋での時間稼ぎの作戦や、足跡をつけないために氷の上を歩く作戦など、人間相手に知恵を絞って逃げ回る動物たちの逃走劇がとても面白いです。こういう発想はかなり新鮮味があって個人的に大好き。特に、終盤で黒いラブラドールに変装する作戦は、そういった面白い発想の最たるものでしょう。

 先述の通り、『101匹わんちゃん』は現代が舞台の作品であり、それ故に魔法のようなファンタジー要素は全く出てきません。もちろん、犬が人間のように思考する知恵があるという点はファンタジーではありますが、それ以外のファンタジー要素は一切出てこないです。急に妖精が現れて力を貸したり空を飛べるようになったりといったことはありません。だからこそ、動物たちはあくまでも現実的な範疇で上述のような数多の知恵を絞ってクルエラたちに対抗するんですよね。そのアイディアが面白いのです。


音楽

 『101匹わんちゃん』はディズニー映画にしてはミュージカル要素がかなり薄いです。あまり劇中歌がないんですよね。というか、3曲しかありません。そのうちの一つ"Cruella De Vil"は本作を代表するかなり有名な曲でしょう。この曲もまためっちゃお洒落なんですよねえ。恐らくジャズっぽい曲調だからお洒落に感じるんだと思うんですが、とにかくスタイリッシュで格好良い感じの曲です。大好き。

 もう一つが"Kanine krunchies"ですね。これは作中で出てくるテレビのCMで流れる曲なので、あんまりミュージカル曲って感じではないですが、いかにもなCMソングっぽさが耳に残ります。こういうところで、「現代が舞台であること」を実感させてくれるんですねえ、この作品は。

 そして、『101匹わんちゃん』のエンディングを飾るのが"Dalmatian Plantation"です。この曲も"Cruella De Vil"同様にジャズっぽくて軽やかなリズムが心地よい名曲です。


凝った演出のオープニング

 本作品は、劇中歌だけでなくオープニングの音楽もとてもお洒落なジャズに仕上がっています。しかも、『101匹わんちゃん』のオープニングって音楽だけでなく映像演出もお洒落なんですよねえ。お洒落で気持ち良くイカした感じの映像が流れます。この頃のディズニー映画のオープニングって、スタッフロールの乗った一枚絵が流れ続けるだけであまり凝った演出はされないことが多いんですが、『101匹わんちゃん』は違います。ちゃんとアニメーション映像がオープニングで流れます。斑が動き回ってたくさんのダルメシアンが画面に描かれたり、音符が大量に出てきたりなど、ダルメシアンの斑模様を生かしたお洒落なアニメーションが素晴らしいです。

 ここまでちゃんと凝った演出がされてるオープニングは、当時のディズニー長編アニメーション映画としてはかなり珍しいです。このお洒落な演出が僕は大好きです。


クルエラ・デ・ビル

 『101匹わんちゃん』にはたくさんのキャラクターが登場しますが、何と言っても一番の存在感を放っているのが悪役のクルエラ・デ・ビルでしょう。そもそも、本作品のテーマソングが"Cruella De Vil"ですからね。そのまんま悪役の名前がタイトルになってる曲が主題歌になってるわけですよ。ヴィランズ・ソングのあるディズニー映画は数あれど、それが作品全体の主題歌レベルで目立っているのはこの『101匹わんちゃん』ぐらいだと思います。それぐらい、クルエラはインパクトある悪役なんですよねえ。ぶっちゃけ、主人公のポンゴたちのキャラを食ってるレベルの圧倒的存在感です笑

 もう、本当に悪役としての彼女の魅力が素晴らしいんです。『101匹わんちゃん』の魅力の90%ぐらいがこのクルエラのキャラで成り立ってると言っても過言ではないと僕は思います。ナイン・オールドメン*10の一人でありクルエラの生みの親でもあるマーク・デイヴィス氏も、クルエラのことを「描いていてとても楽しい悪役だ」と言っていたそうです。実際、それだけインパクトの強い魅力的な悪役として彼女はデザインされてます。

 とてつもない個性を放っている性格なんですよね。徹底的に自分勝手で強欲で傲慢で無礼で手段を選ばなくて、とにかく「嫌な奴」っぷりを極限まで高めたような悪役です。見た目のインパクトも半端ない。黒と白に分かれた髪型のうえ、分厚い毛皮のコートを羽織ってますからね。一目で記憶に残る見た目です。確かに、このデザインを考え付いたのは素晴らしいです。

 そんなクルエラの「嫌な奴」感は最初の登場シーンからしてすでに出まくっています。煙草の煙を撒き散らし、ロジャーやアニータに対して失礼な発言を吐きまくり、さらには出されたケーキやお茶に煙草の灰を付けまくる無礼っぷり。登場した瞬間から彼女のキャラが一発で分かるような言動になっています。"Devil Woman"と作中で言われてるのも納得です。

 このクルエラ登場シーンは煙草の煙の演出がちょっと上手いんですよね。前作『眠れる森の美女』を彷彿とさせる緑色の煙になってるんですけど、それによってクルエラの「悪い魔女」っぽさを演出している。特に、その煙がポンゴとパーディの写真を囲むシーンがとても‟魔女っぽい”んですよね。良い演出です。先述の通り、『101匹わんちゃん』はあくまでも現代が舞台の作品なので、クルエラも魔法とかは使えない普通の人間なのですが、それなのにファンタジー世界の魔女にも引けをとらない邪悪さを醸し出してる。

 こういう「現代世界が舞台ゆえに魔法など使えない制限の中、上手くファンタジーっぽい演出をする」という試みが、本作品ではクルエラ登場シーン以外にも至る所で使われています。そうすることで、歴代のディズニー・ヴィランズたちのような邪悪な魔女っぽさがクルエラにも強く出ているんですよね。特に印象的なのが、屋敷でジャスパーの酒をひったくって暖炉に投げ込むシーンです。ここの大爆発はクルエラの大魔王っぷりが上手く演出されたとても印象的なシーンになっています。大好き。

 そして、こうやってクルエラの邪悪さがここまで強調されて書かれてきたからこそ、終盤でのポンゴたちの逃走シーンの緊張感が増すんですよねえ。ポンゴたちの隠れている建物を車に乗って覗き込むクルエラの怖さは圧巻です。

 また、クルエラのいかれっぷりが最高潮に描写されてるのがラストのカーチェイスシーンでしょう。犬たちの乗ったトラックをクルエラが自動車で執拗に追い回すシーンは、この作品の一番の見どころだと思います。一度、谷底に突っ込んだにもかかわらずそこから無理やり上って追い続けるクルエラの顔が完全に狂気に満ちています。当時のディズニー映画で、ここまで狂気が全面に出た表情を見せたディズニー・ヴィランは他にいない気がします。自動車がボロボロになってまで追いかけ続けてる点にも狂気を感じます。そんな狂ったクルエラが追いかけてくるからこそ、終盤のカーチェイスが緊張感ある名シーンになってるんですよね。ここのアクションは『101匹わんちゃん』屈指の名シーンだと思います。めっちゃハラハラして楽しい。


その他キャラクター

 もちろんクルエラ以外のキャラクターも魅力的なやつばかりです。クルエラの存在感に食われてるとは言え、主人公のポンゴはちゃんと主人公らしい活躍を見せてくれています。妻のパーディと一緒に、子供たちを救うためにジャスパーやホーレスと戦ったり、色々と知恵を絞って逃走する活躍っぷりはしっかりと主人公らしいです。

 飼い主夫婦のロジャーとアニータもなかなかに理想的な夫婦です。特に、クルエラに震えながらも、売ることを果敢に拒否するロジャーの姿は格好いいです。この二人の適度なラブラブ描写は新婚夫婦っぽい初々しさがあって微笑ましくなりますね。クルエラの歌を歌うロジャーをアニータが苦々しく思いながらも、なんだかんだで最後はイチャイチャしてラブラブっぷりを見せつけるシーンが好きです。

 そして、たくさんの子犬たちの何匹かもしっかりと魅力的なキャラになっています。パッチやラッキー、ローリーなどそれぞれにしっかりと個性的なキャラ付けがされています。ポンゴとパーディがテレビを見る15匹の子犬たちをしっかりと寝かしつけるシーンは微笑ましい家族っぽさがさり気なく演出されている名シーンだと思います。

 ジャスパーとホーレスの間抜けな手下コンビも良いですね。ディズニー・ヴィランズの鉄板ともいえる「間抜けな手下キャラ」はこの作品でも健在です。一見、ジャスパーのほうが頭良くてホーレスのほうが間抜けに見えるのに、実は敵の策略に気付く鋭さをホーレスが持ってた(しかしジャスパーはまともに取り合ってくれない)というギャグは、後のティモンとプンバァを彷彿とさせます。それのギャップゆえにきちんと笑える漫才コンビになってます。いかれた悪魔クルエラのコミカルな手下コンビって感じで良い味出てますね。好き。

 ジャスパーとホーレスと似たようなコンビとして、チブス軍曹と大佐のコンビもなかなかにコミカルで面白いです。チブス軍曹は第一期黄金期のディズニー作品には珍しく善玉のネコです。『シンデレラ』のルシファー、『ふしぎの国のアリス』のチェシャ猫、『わんわん物語』のサイとアムなど、第一期黄金期のディズニー作品に登場する猫は嫌な奴が多かったので珍しいですね。しかも、チブス軍曹はかなり優秀なキャラなんですよね。それにも関わらず、階級が上の大佐のほうが立場上は偉いらしく、この大佐がしばしばボケた発言をするのをチブスが正しく補佐するという関係になってます。こういう、立場と実際の優秀さがあべこべになってる関係はジャスパーとホーレスに通じるところもあり面白いです。大佐のボケっぷりもちゃんとギャグとして笑える感じに仕上がってます。この二匹もまた素晴らしい漫才コンビです。


とにかく面白くて大好きな名作

 以上、『101匹わんちゃん』の魅力をつらつらと語っていきました。独特な絵柄とジャズっぽい音楽から来るスタイリッシュでお洒落な雰囲気、状況が目まぐるしく動くために飽きさせないサスペンス・ミステリー風の展開が面白いストーリー、現代的な小道具とディズニー風ファンタジーを融合させる面白い発想の演出、自動車を使った怒涛のアクションシーンなどなど……この作品はとにかく純粋に「面白い!」と思える名作なんですよね。

 そして、何よりもこの作品を名作たらしめてるのが「クルエラ・デ・ビル」という歴史に残る名悪役の存在でしょう。彼女の徹底的な悪役ぶりとその凄まじすぎるインパクトゆえに、今でも『101匹わんちゃん』はディズニー史に残る名作として扱われているのだと思います。僕もこのクルエラのキャラが子供の頃から大好きです。歴代ディズニー・ヴィランズの中でクルエラが一番好きって言っても過言ではないくらいです。それぐらい魅力的な名悪役だと思います。大好き。

 『101匹わんちゃん』って知名度が高いわりにはなぜか世間の「好きなディズニー映画トップ10」みたいなのではあまり取り上げられない印象があるんですけど、僕個人は歴代トップ10に入れたいぐらいにはこの作品を好いています。とにかく純粋に面白いしお洒落だし、悪役も魅力的すぎます。とても大好きな映画ですね。第一期黄金期のディズニー長編アニメーション映画の中では『シンデレラ』と並ぶ傑作中の傑作だと思います。素晴らしい作品です。






 という訳で『101匹わんちゃん』の感想記事を終えます。冒頭で述べた通りとても好きな映画なので、いつもよりちょっと熱の入った記事になってしまったかも知れません。次回は『王様の剣』の感想記事を書こうと思います。それではまた。

*1:ディズニーアニメに限らず日本のも含めたほとんどのセルアニメでは現在もトレスマシンが使われています。

*2:なお、『101匹わんちゃん』では犬などのキャラクターだけでなく背景にもゼログラフィーが使われていましたが、ウォルト・ディズニー氏自身はそのことを嫌っており、この作品の美術監督だったケン・アンダーソン氏を死ぬ間際まで許さなかったという逸話があります。しかし、そんなウォルトも死ぬ間際には恐らく自分のことを許してくれたのだと感じたと、ケン・アンダーソン氏が後に回想で語っています。

*3:さらに言えば、エマ・ストーン主演でクルエラ主人公の実写映画も2019年現在制作予定ですね。

*4:あんまり美術に詳しくないので、あくまでも僕の主観的な大雑把なイメージで「印象派」っぽいと言ってるだけです。厳密な定義に基づく印象派の絵とは多分違う気もします……。

*5:なお、以後のディズニー映画ではしばらくこの『101匹わんちゃん』のような絵柄の作品が続きます。

*6:イカボードとトード氏』や『わんわん物語』が公開された時代(1949年と1955年)の人にとっても‟昔”の自動車でした。

*7:と言っても、この作品が公開された1961年当時の人々にとっての「今風」なので2019年現在の僕らからすると少々古いタイプの自動車ですが。

*8:『101匹わんちゃん』の舞台自体はアメリカではなくイギリスですが

*9:なお、この遠吠えのシーンでは同じく犬たちが主役のディズニー映画である『わんわん物語』のキャラもこっそり出演しています。こういうカメオ出演シーンがあるのは嬉しいファンサービスですね。

*10:当時のディズニー・スタジオにおける9人の大御所アニメーターのことです。詳しくは【ディズニー映画感想企画第14弾】『ピーター・パン』感想~子供と大人の折衷的作品~ - tener’s diaryの記事を参照してください。